すると、何か音がかすかに聞こえた。

「…こ……るの…?」


ヤバイ。完全にこっちに来ている。
逃げるなら今のうちだ。

でも、教室側から声が聞こえるってことは、そこにいるということ。

だから、理科室には行けない。
行くとしたら、PC室くらいだ。

PC室の机のしたとかだったら隠れられそう。

私は図書室から飛び出した。
向かったのは、PC室。ドアはここも普通に開いた。

私は、1番奥の席の机の下に隠れた。


しばらくすると、

「どこにいるの〜?」

もう、声がはっきり聞こえる所に『鬼』が来ていた。

「秋穂、なんか情報あった?」

最悪のタイミングで、紫音が電話から話してきた。

私は、もちろん何も応えない。いや、応えられない。

「秋穂〜?何かあったの〜?」

お願い、静かにして!
私は心の中で必死に唱えた。

でも、通じるはずがなく、まだ私を呼んでいる。

私は危険を覚悟し、ライトをつけ、私がどんな状況にいるかわかりやすく、ケータイのカメラでPC室中を見せた。

すると、やっと状況がわかったのか、何も言わなくなった。


だけど、とても静かな空間で、紫音がしゃべっていたので、ものすごく声は響いていた。

そのせいで、『鬼』にバレてしまった。

PC室に来たのだ。

「そこにいるの〜?」

もう、最悪。見つかっちゃう。せっかく見つからないように前持って隠れたのに。

見つかったら死んじゃうじゃん。