「どこにいるの〜?」

またあの言葉だ。こんな言葉で出てくるとでも思っているのだろうか?

「私と『鬼』を交換しよう。」

え…?

今の言葉は初めて聞いた。交換って、出来ないでしょ。
なのになんで?もしかして、見つかったら交換とかあるのかな?
でも、見つかったら殺されるんじゃなかったっけ?


ガタンッ!!

机を倒している音だ。いきなりでビックリしてしまった。

ゆっくりと私がいる所に近づいている。
音をたてながらゆっくりと。

もう、私は泣き出しそうだった。電話越しに皆が見ているとは言えども、怖いものは怖い。

「いない…。」

机の下にはいないことを知り、少し悲しそうだった。

すると、今度は端の方から棚の扉を開けていっていく音がした。

バタン バタン

私がいるのは、棚の中でも一番最後の所。ゆっくりと扉を開けていっている。
このままでは絶対に見つかる。

すると、私はあることに気づいた。この棚は全て繋がっている。それも、ずっと奥まで。
それに、扉を閉めて、次の扉を開けるまでの間が少しあって、その間に反対側に行けば、見つからずにすむはず。

でも、音をたてたりしたら、見つかるかもしれない。
それでも、今の状況ではこうするしか方法はない。

私の所まであと扉が二つと言う時に、私は四つん這いで音をたてないように奥に向かった。

すると、私の体がまだ見えてしまう所で扉が開き始めた。
私は音には細心の注意をはらって、でも速く進んだ。


そして、ギリギリの所で逃げることが出来た。

そして、私が一番端っこに着いた時に、私がいた所の扉が開かれた。でも、そこには誰もいない。

「いない…。」

上手く逃げることが出来た。
そして、『鬼』は家庭科室を出ていった。


それでもまた戻ってくるかもしれないと思い、5分くらいは黙っていた。
でも、声も足音も聞こえなくなったので、私はやっと棚から出た。

家庭科室はめちゃくちゃに荒らされていた。

「秋穂!大丈夫か?!」

最初に聞こえてきた声は祐希くんの声だった。

「うん。大丈夫。なんとかバレずにすんだよ。」
「なら良かった…。それより、さっき、『鬼』を交換しようって…」
「あぁ、それそれ!秋穂、何かわかる?」
「ううん。知らない。私も初めて聞いたから…。」
「そっか…。」

あの言葉の意味はなんだったんだろう。何か、呪いを解くヒントになるはず。