「ごめん…。そういえば、隠れてるって事は、色んな教室に入れるの?昼頃に行ったときには開いてなかったところとか。」

そういえば、現実では開いてなかった図書室が開いていた。

と、言うことは、他の教室にも入れるはず!
「たぶん、入れると思う。私が探してみよっか?」
「え?!大丈夫なの?!」
「それはわからないけど、できる限りなら。それに、休憩時間みたいなのがあるから。その時にたくさん調べてみる!」
「わかった。あ、でも、ずっと電話は切らないで!今から皆を起こしてくる!」

そう言う声が聞こえると、ドアが閉まる音がした。

もう、それぞれの部屋に行ってしまったのだろう。

でも、美希も先生に見つからない様にしないといけないことはわかってるよ、ね…?

まあ、大丈夫だろう。それより、今は私は見つからない様にしながらいろんな部屋を調べないといけない。

だけど、かくれんぼはたぶん、時間制限があると思う。それまでに調べ切れるかが問題だ。そして、その時間はどれくらいなのか。

でも、どちらにしても時間はないから、私は棚の中から出ることにした。

足音や声は聞こえて来ない。3階は今は大丈夫なのだろう。

私は意を決して棚の中から出た。そのまま家庭科室からも出ていった。


まずは3階から調べて行こう。

家庭科室のすぐ隣には調理実習室があって、家庭科室と繋がっている。

入って行くことは普通に出来た。
でも、中はとくに何もなく、変わった所はない。

私は調理実習室とは反対の音楽室に行った。

まだ足音や声は聞こえないから、大丈夫だろう。それに、聞こえて来たらまた家庭科室に戻れば良いし。

音楽室は中に入ると肖像画が不気味にこっちをみていた。

とても居心地が悪い。早く出て行きたい。でも、調べなければならない。

音楽室の机は沢山ラクガキがあった。でも、情報になる様なものはなかった。

それでも、全ての机を調べようと教室を周っていた時、


ポロン ポロン


誰もいないはずなのにピアノの音が鳴りだした。悲鳴を出しそうになったが、ギリギリで押しこらえた。

もしかすると、『鬼』が、秋穂ちゃんがいるかもしれない。

私はゆっくりと振り返った。