「へぇ、大変だったね」 あたしはヘラッと笑う。 やっぱりナチはナチだ。 優しいナチのまま。 『馬鹿っ!体調管理には気を付けろ』 「貧血はどーしようもありません」 『んなの知ってる。友田とかなんとかに礼言っといて、じゃあな』 ツーツー。 切れた電話。 まだ繋がっていたかった。 あたしの心は満たされない。 戻りたいんだ。 あたしはスマホを耳に当てたまま、ベッドに寝転がった。 虚しいその音に……涙が落ちる。