高校一年生ももう終わりの三月。

心の中では、ずっと後悔してる。

放課後。

「悠大君、私先生から頼まれ事があって…」

「ならあの部屋で待ってるよ」

「えっ、待っててくれるの??」

「勿論。なんかあったら怖いし」

「ありがとうっ」

悠大君には嘘ついちゃったな。

本当は先生になんか呼ばれてない。

「…あの、本田君…」

そう。

本田君に会うために。

「なに。何の用」

私が今日、本田君を呼び出した。

「話したい事があって…」

せめて、謝りたい。

「そう。俺は話すことないけど」

「…」

いつからこんなに冷たくなったのかな。

前はこんなんじゃなかった。

元気でワイワイだったのに。

本当に冷たくて。

それは瞳も。

まるで海みたい。

って…前にそんな話したよね。

「まあいいや。聞くだけ聞いてやるよ」

「…あの。…本田く…」

「悠大の事は名前で呼ぶんだな、お前」

「え…」

「俺の時は散々嫌がってたくせに」

本田君は鼻でふっと笑う。

「…ごめんなさい…」

だっていきなり言われたんだもん…

でも私…なんであの時言わなかったんだろ。

悠大君は普通に抵抗なく言えたのに…。

「…で」

「私、どうしても本田君に謝りたくて…酷いこと言っちゃった…ごめんね…」

「…」

「本当に…ごめんね…」

そして…

大好きでした。

「…なんでだよ」

「え??」

私は涙を拭う。

「お前は…なにも酷いことなんかしてない。むしろ俺だよ…」

「…本田、君??」

「ずっと後悔してた。栞奈を傷つけた事も泣かせた事も。あんな顔、初めて見た」

「…」

「俺、お前のこと好きだった」

えっ…嘘…

その時涙がたくさん出た。

「…ひっ、く…ごめんね」

私もね、

今更だったけどね、

自分の気持ちに気づいたよ。

でももう、遅いんだね。

ずっと心の中に引っかかってた。

後悔してたのも、

あの時直ぐに本田君の名前を言わなかったのは、

言いたくなかったんじゃなくて、

ドキドキして、言えなかったんだ。

そして、

栞奈と名前を呼ばれて嬉しい気持ちになった事も、

彼女と一緒にいるのを見かけたら、変な気持ちになったのも。

全部全部好きだったから起こったことなんだね。

こんなにも近くに何度も起こってたのに気づかなかった私はバカだ。

「…ごめっ、ね。やっと…やっと話せた…」

今はもう、

涙を流す事しか出来なくて…。