「えええ!やだ、閉めないで!」

文句を言ったのは、山口春。
『春』という季節が大好きな子。ちなみに結構かわいかったりする。

「えー、なんでだよ」

と、男子A。

「だってね、谷原くん。今日はこんなに天気がいいんだよ!窓なんか閉めたらもったいないでしょ?」

男子Aもとい谷原は、春のほわーとした笑顔を見て、顔を赤らめた。

「春は『ハル』だけに『春』が好きなんだよね~」

春は親友の夏香に頭をなでてもらって、くすぐったそうに笑う。クラスの男子の大半はそれにやられた。

「………」

透夜は気に入らなそうに立ち上がると、自分で窓をピシャリと閉めた。

「はうあ!なんで閉めちゃうの坂井くん!」
「うるさいなあ。風がウザいんだよ」
「なんでー?ふわわーって吹くじゃん!気持ちいいじゃん!」