「もうごめんは聞き飽きてきたんですけど」
ごめんと言われる度に思う。
そのごめんは、どういう意味の“ごめん”だろうかと。
凛冬に笑ってほしくて、冗談めかしてそう言うと、
凛冬が眉毛を下げて笑って。
私の胸はキュッと軋んだ。
…わかってる。
「…見失ったって、あの時のことだよね」
2人の最後の日。
車で星を見に行った、別れの日。
見失ってごめん。
ということは、また見つけてくれるのだろうか。
私を。なんてね。
「…あぁ」
潮風が、少し目にしみる。
「あの時、ちょうど兄貴夫婦に子どもができてて、
生まれるタイミングだったんだ」
「え?」
子ども?
「お兄さん達子ども生まれたの?」
あたらしい命の誕生に、
おめでとうって言っていいのか分からずに
言葉を飲み込んだ。
「元気な女の子がね」
凛冬はやっぱり、胸を痛めたのだろうか。
表情をみる限りは、穏やかそうにみえるけど。
聞けなかった。
聞かなかった。



