キライになりたい曲




…でも。



あの日、大切な人の痛みに
向き合えずに逃げたことを
繰り返したくはない。

ちゃんと向き合えばよかったと、
記憶と一緒に刻まれた後悔を
無駄にしたくなんかないから。

これからの私達に、物語はなかったとしても。
ちゃんと聞かなきゃ。


気持ちを強く、砂浜をつかんで。


私の呟きに頷いてから、
口を開く凛冬の言葉を待つ。





「…兄貴の、奥さん」

風が、言葉を海へと流す。