「…あー、そういうことか」
凛冬は難しい顔をしていたけれど、
少し間を置いて、なぞなぞが解けたみたいにそういった。
どういうこと?
と、眉間に力を入れた私を、
凛冬が真っ直ぐみてくる。
「まず、咲桜の結婚が決まったのは、
3ヶ月くらい前のことだから、
8ヶ月前のことに、咲桜は関係ない。
俺と咲桜は本当にただの幼なじみというか、
兄妹みたいなもんだから、
お互いに、恋愛感情を抱いたことはない。
…あの日。
"おめでとうの代りに" を聴いて、
思い出してたのは、
別の、人」
そういって、少し言いづそうな顔をする凛冬に、
胸がいたくなる。
咲桜さんの話までは、
強く、真っ直ぐな目をしてたのに。
ゆらゆらと揺れる瞳の奥に、その人がいるんだ。
それだけ、"別の人" の存在は大きいってことが、
聞かなくても、
受け止めたくないくらいにわかってしまって、
また、逃げてしまいたくなる。
「…別の、人」
聞きたくも、知りたくもない。
大好きな人の、大好きな人の話。
心の中の、大半を占める人の話なんて。
…でも。



