凛冬は、私が何をいってるのか分からない
みたいな顔をしてそう言ったけれど、
私だって、凛冬が何でそんな顔をしているかが分からない。
「…結婚、するんだ咲桜さん」
結婚 ってことはさ、
まさに じゃない。
付け足されような "もう結婚する" の言葉が、
まるで言い訳みたいだ。
誤魔化さずに、隠さずに、
素直に認めてくれたらいいのに。
気を遣われてるみたいで、イヤ。
「秋に式予定してるっていってはいたけど、、
なんで、そんな顔してんの」
今までの8ヶ月を忘れているかのように、
ごく自然に、、無神経に、
私の頬へ触れようと伸びてきた凛冬の手を払い除けた。
「8ヶ月前、ちょうど咲桜さんの結婚が決まったの?」
飲み込んでたことが、口から流れ出る。
「…は?」
「だから、あの日…
2人で星をみにいったあの日に、
車の中で "おめでとうの代りに" を聴いて、
咲桜さんを想ってしんどくなったの?」
ー おめでとうの代わりに
この曲は、大切な人が、
自分ではない誰かと結婚してしまって、
心を傷ませながらも、幸せを願う唄だ。
咲桜さんが結婚するから、
この歌に、咲桜さんを重ねてたってことでしょう?



