差し出されたハンカチなんて、
とてもじゃないけど使えないから、
自分の指で涙をぬぐって、
「ハンカチ、ありがと。
でも、大丈夫だから」
ハンカチごと凛冬の手を押し返すと、
凛冬がこっちをみる。
色素の薄い瞳に、
私が真っ直ぐ入るのも8ヶ月ぶり。
もの言いたげにゆれる瞳に、
目を奪われてしまう。
「あっ、凛冬!」
凛冬が口を開きかけたその時、
かわいらしい声が響いた。
その声に顔を向けると、
ステージ側から手を大きく振りながら、
パタパタと走ってくる女の子の姿。
「急にいなくなるからびっくりしたよ!
ひと言大事って、いつも言ってるじゃん」
すぐ近くまできたその子は、
声から想像できた通り、
小動物みたいですごくかわいい。
ベビーフェイスで、
拗ねたように口を尖らせてみせるその子は、
女の私からみても、愛くるしいななんて、
思えてしまって、胸がチクっとする。



