「おふくろの苦労をそんな風に……アンタ、昔はそんなんじゃなかったはずだろ」


「昔と今を混同するんじゃねぇ。迷惑だ」


「ふざけんなっ! 親父についてって頭がおかしくなったのか!? 幻滅した! そんな血も涙もないヤツだなんて思わなかった!!」



 城ヶ崎が笑った。

 そう思ったら、郁人くんの手首を掴み、一気にひねり上げる。 



「――――っ!!」


「郁人くん!?」



 うずくまった郁人くんのもとへ駆け寄る。

 彼は手首を押さえながら唇を噛み締めている。



「お前の力なんざ知れたもんだ。間違っても俺に敵うなんて思うなよ」


「くそ……!」