「だから?」


「アンタは……平気だって言うのか。母親が死んでも」


「答えが必要なのか?」


「『答えが必要』? そんなこと問う前に、おふくろの心配するのが筋ってもんだろうが!」


「そうだろうな。だが親父に出て行かれ、無理して笑うことで自分の命を削る姿。それに何かを思うんだったら、惨めだ、それだけだな」


「――っ!!」


「郁人くんっ!?」



 城ヶ崎の胸倉を掴んだ郁人くんは、形容しがたい憤怒に拳を震わせている。