「……ははっ!」


「え、何? 何で笑うの?」


「僕の苦労も、やっと報われるのかなって思って」


「く、苦労??」


「声に出てたよ」


「……なななっ!!」



 ……いつもみたいに笑顔で見つめてくれてたら、どんなによかっただろう。

 なのに、今日は若葉くんまで頬をほんのり朱に染めているから、心臓が飛び跳ねてしまうんだ。



「ねぇ、抱き締めてもいい?」


「どど、どさくさに紛れて何言い出すの!?」


「だってセラちゃんが今、すごく可愛いから」


「か……っ!?」


「そうやってスネてくれて、嬉しいんだよ。……ね、抱き締めたい」



 そばで囁く声は、甘い。

 強張る私の体温を確かめるように、頬にそっと触れる手。