窓際で風が吹いた。



 すうすうと寝息を立てている郁人くんに布団をかけ、一件落着。


 昨晩は徹夜をしていたのか、とても疲れていたようだ。


 起こしたほうがいいのだろうけど、なんだか微笑ましい気持ちが行動に移させてくれない。



「おふくろに似てるからって襲うなよ、親父」



 振り向くと、部屋の入口に隼斗くんが立っている。



「嫌だなぁ、襲わないよ。彩子さんじゃないし」


「……うっわ、何気に野獣宣言」


「滅多にない褒め言葉だよ」



 さてと、と踵を返したとき、郁人くんが突っ伏して眠る机の上に、見覚えのあるものが転がっているのに気づいた。


 蒼色のソレは、巡り巡ってここに辿り着いたらしい。


 胸を満たす陽だまりが大きくなったのは、言うまでもない。