話したいことがあるなら、家で待ってろ。アイツはそっちに行くはずだから。



 若葉くんに送られて帰ってくると、どうやら彼のほうが先だったよう。


 隼斗の言葉通り、郁人くんは玄関前でじっと佇んでいた。



「外で待ってなくてもよかったのに。最近風が冷たくなってきたでしょ?」


「……いや、話したらすぐ帰るつもりだったから」



 居住まいを正すように向き直る郁人くんを見やる。


 お葬式帰りで、彼も制服姿……ということは、あの星麗の制服なんだけど……。



「……何か、大人びて見えるね」


「そうか? 俺はあんまり好きじゃないけどな。派手すぎ」



 ダークグレーのシャツ、シルバーのネクタイ。


 白いブレザージャケットの左胸には、金糸による校章の刺繍。


 なんていうか……パッと見だけで圧倒される。



 肩凝るわぁ、とあくまで庶民派意見らしい郁人くんは、わざとらしく肩を叩いた後、ふと真顔になる。