「若葉くん、えっと……?」


「ああ、セラちゃんは会ったことなかったっけ。アレ、若葉芳一。うちの馬鹿父」


「…………」



 恐る恐る、若葉くんのお父さん……芳一さんの様子をうかがうと。



「……うっ、うっ、うっ。そんなに怒らなくてもいいじゃないか、聡士……」



 泣いていた!



「ちょっとあなた、泣いてるヒマなんてないでしょ!」


「でも、みやこぉ~!」


「つべこべ言わずに署に戻って、セラちゃんたちを苦しめたにっくき犯人たちを、取り調べて来なさい!」



 ……事態を聞き、駆けつけてきてくれた都おばさんに叱りつけられ。



「ううっ、父さん頑張って来るからな。嫌わないでおくれよ、聡士~!」



 泣く泣く覆面パトカーに乗り込む芳一さん。


 若葉くんの、長――いため息が零れた。