「八神さん!」


「おじさんっ!」


「よく頑張ってくれたね……君たち」



 若葉くんや朝桐くんたちをぐるりと見渡した八神さんは、隼斗と郁人くんを振り返る。



「隼斗くん……遅くなって悪かった。もう大丈夫だよ。郁人くんも」


「父さん……っ!」



 泣く郁人くんは初めてじゃなかったけど。



「っ……!」



 泣きそうな城ヶ崎は、見たことがなかった。



「辛い思いをさせて、ごめんね……」


「……馬鹿、謝るんじゃねぇよ……」


「そうだね。……ありがとう。君たちは私と彩子さんの、自慢の息子だ」



 大きく腕を広げた八神さんは、2人を力強く抱き締めた。


 今まで出来なかった分を、埋めるかのように。



 腕の中でうずくまる2人。


 それは生まれて初めて父の腕の中で、彼らが子供として泣くことを許された瞬間だった。