やっぱりこうなっちゃうのか……と落胆したとき。

 振り払った反動か、郁人くんのポケットから何かが零れ落ちた。

 コトン、と適度な重みの音を立て、転がってきたそれを拾い上げる。



「返せっ!」



 血相を変えた郁人くんが、ものすごい形相でそれをひったくった。



「あ、えと……それ……綺麗ね」


「……は?」



 私が見たのは、手の平に収まる大きさで、丸くて、鮮やかな蒼色をしたもの。

 何かはわからないけど、透き通った青空みたいに綺麗だった。



「すごく大事なものみたいだね。宝物?」


「……そんな上等なものじゃない。もういいだろ」


「待って、まだ全然話して……!」


「――どうしてアンタは、そうやって俺に関わろうとするんだ!!」