「……うるせぇガキだ」


「うぁっ!?」



 不快感を隠そうともせず、拘束した両腕をひねり上げる宗雄さん。


 歯を食いしばって耐える郁人くん。


 まるで当て付けのような仕打ちに、八神さんの中の何かが弾け飛んだ。



「城ヶ崎、貴様ぁッ!!」



 男2人が立ちはだかるも、憤慨した八神さんが素手で殴り飛ばす。


 あの優しい八神さんの、阿修羅のごとき激昂。


 震えすら感じる光景を、宗雄さんは薄笑いのまま眺めていた。



「おー怖い怖い。普段なよなよしてるからつい忘れそうになる。お前が、武道の有段者だってことをな。

 まぁどうせ手出しは出来ない。こっちにはまだ手札があるからな」


「……何」



 今度は背後から別の男たちが入ってくる。


 すごい人数……囲まれた。


 それだけではない。


 宗雄さんの視線を受け、集団が真っ二つに割れた先に……。



「隼斗くん!」



 ……間違いない、城ヶ崎だ!


 けれど、彼は俯いたまま反応がない。