「ちょーっと待ったぁ!」


 部屋にこもりきり、食事中だって完全無視。


 やむを得ない理由で始まった共同生活。

 その上居心地の悪すぎる空気に我慢ならず、ついに郁人くんを呼び留めた廊下。


 後片付けまで済ませ部屋に戻ろうとした郁人くんは、怪訝そうに振り返った。



「何か用」


「たまには話したいなーって思って」


「くだらない」


「くっ、くだらなくないよ! 一緒におしゃべりするのってね、」


「話したら何かくれるわけ? だったら俺も喜んでするけど、そうじゃないだろ。だからしない。それだけ」


「ちょ、ちょっと待って……!」



 顔を背けた郁人くんの肩に触れると、押し切るように振り払われてしまった。