「そんな乱暴な真似……それこそ、暴行してた人たちと変わらないわ……」


「口を慎んでもらおうか。俺は暴行などしていない」



 鋭く突き刺す声音に、つい漏らしたことを後悔し……



「そう、暴行などしていない。運ばれてきた患者を治療しただけだ。……もっとも、すぐに感づいた馬鹿息子に阻止されたがな。おかげで満足に動けやしない」


「っ! 城ヶ崎が!?」


「兄貴……っ!」



 後悔したことを、後悔する。



 城ヶ崎はなぜ、被害者のリスクを冒してまで八神さんに連絡をしたのか。


 なぜ、やってもいないのに黙秘を続けていたのか。



 その全てを、今ここで理解した。



 脅威から被害者を守るため。


 自分が捕まることで、出来るだけ警察の注意を、自分とその家族に引き付けるため。



 城ヶ崎はずっと独りで抗っていた。


 叫んでいたのだ。



 ――この男が真犯人だ、と。