「ごめんなさい。あいにく父はインドへ紅茶を買いに行ってて……」


「それは知ってる。お邪魔するよ」


「えっ?」



 少年は靴を脱ぐなり、勝手知ったる我が家とばかりにスタスタと家の中に入ってくる。



「へぇ、思ったより広いじゃん」


「ちょ、ちょっと待って! あのっ、これはどういうことなんですか!」



 リビングで室内を見回す少年に追いつく。

 おろおろする私を振り返り、彼は至極当然のようにこんなことを宣言した。



「俺、今日からここで暮らすから」


「………………はいっ!?」