――前言撤回。
 

 腹の底から湧き上がってきた感情も手伝って、俺は化け猫を突き飛ばしていた。


 本人はと言えば、あらら、なんて言いながらきょとんとしている。



「俺は弱ってなんかねぇ」



 そう、弱くなんかなってない。


 だから、誰の力も借りない。


 これだけは、譲れない。



「今日も『お出かけ』するの?」


「邪魔するか」


「やだ、あたしもそこまで野暮じゃないわよ。だけど、そうねぇ……頑張ってる隼斗くんに、元気の出るモノをあげる」



 ……やけに機嫌のいい化け猫。


 怪訝に思いながら、差し出されたものへ視線を落とし――愕然とする。