……どうやら、詳しいことまでは知れ渡っていない。


 断片的に話が届いた、といったところか。



 驚いた。


 自分の父に超能力でもあるのかと思った。



「俺じゃない。世話になってる家の子だ」


《何! 大丈夫なのか!? もし怪我をしてるなら俺の病院に……》


「心配ない。今は眠ってる。そっとしておきたい」


《……そうか》



 納得した父の声と共に、沈黙が訪れる。



「…………」



 ……こういうとき、何を話すんだ?


 親子のはずなのに、そういう関係を今まで築いていなかったせいか、どうも気まずい……。