若葉が出て行ってから、30分くらいしてからだろうか、玄関のブザーが鳴った。



「はい……」


「セラちゃん、久しぶり!」



 玄関を開けた俺をスル―して入ってきたのは、黒髪の女性。



「聡ちゃんから聞いたわ。怖かったでしょーっ! 私がいるから大丈夫よっ!」


「……わ、都(みやこ)おばさん」



 俺は、セラに突進した女性を見やった。


 高校生の子持ちのはずなのだが、ともすれば20代に見えなくもない若々しさ。

 あり得ない。


 ……いや、あの若葉の母なのだから、何でもアリか。