「すみません。重くないですか?」


「はいっ、力仕事は得意なので、任せてください!」



 退院祝いに、サプライズでごちそうを作ってあげようと思い立った。


 なので、迎えはいいよとだけ郁人くんにメールした信号待ち。



 そこで聞いたんです。


 ドサッ、という音を。



 振り返ると、若いスーツの男性が落し物をしたよう。


 男性は屈み込んでいるのだけど、腰を曲げられないのか、伸ばした手が地面に届いていない。


 困っている方を見過ごすわけにはいかず、荷物持ちを申し出た……まではよかったのですが。