「君は、独りではないよ。セラさんにも言われたんだろう? それが当たり前だ。独りでないのが普通なんだよ」



 ……この人は、いつもこうやって悩んでるこっちがバカみたいに笑いかけてくる。

 そういうところが、母とそっくりだった。

 理由もなくにこにこしている2人を並べたら瓜ふたつだ。

 だから、こんなにも打ち解けられたのかもしれない。



「さてと……まずは風邪を治すこと。次に何をするかはそれからだよ。いいね?」



 普段は超がつくほど優しいけれど、こうやって患者に言い聞かせるときの先生が頑固なことは、経験上承知済みだった。



「……うん」



 素直に頷き、病室を出て行く先生を視線で見送った。