『郁人、また熱?』


『あら、お兄ちゃんお帰り! そうなのよ。困ったのよねぇ』


『バカだな。だから言っただろ。後で熱出しても知らねーぞって』


『……ちょっと川で遊んだだけだろ。バカバカ言うな』


『スネても可愛くねぇって。文句言うんなら、ちゃんと治してからにしな』



 ――いつからだろう。兄を恨めしいと思うようになったのは。


 よく俺をからかっては面白がっていた兄も、今では別人。


 子供の頃があんなに幸せだったから、思い出すのが辛い。



 ……ああ、また頭痛だ……。