「アスタロトほどの悪魔が、何故人間の世界に下り、下賤な化け物と共に殺し合いの道を歩むのか」

完全に頭部を再生させ、ベナルは口角をつり上げる。

「失望し、その身を堕天使に窶しながら、ジャーク…貴様はまだ人間が好きなのだ。人間に希望を見い出していたのだ。その祓魔師のような脆弱な存在相手に、嬉々として戦いを挑んでいたのが何よりの証拠」

「……」

無言のまま、邪悪は二挺拳銃を投げ捨てる。

そして。

「サルガタナス、ネヴィロス」

邪悪は叫ぶ!

「塵も芥も悉く、我が敵を根絶やしにせよ!」

その詠唱のような咆哮と共に、白銀の拳銃が、黒鉄の拳銃が、人の形を成していく。

禍々しい光。

その閃光と共に、二挺拳銃はその名の通りの悪魔、サルガタナスとネヴィロスへと変化する。

邪悪の愛銃は、アスタロトの配下であり懐刀の悪魔そのものだったのだ。