芝居かがった大仰な動きで。

「おかしいじゃないかジャーク」

ベナルは言った。

「人間だぞ?貴様の嫌いな人間だぞ?蟲に等しい、弱くて取るに足りない人間じゃないか。いつだって我ら化け物の餌になる…屠殺して食うだけの家畜に等しい人間じゃないか。それが一匹死んだだけで」

ヨセフの体を蹴り飛ばすベナル。

「何故そうも憤る?」

「…セシル」

ベナルの問いかけに答える事なく、邪悪は眷属の名を呼んだ。

「まだ息がある。その祓魔師を死なせるな。どんな手段を使っても生き永らえさせろ。人間のままで生かせ。『堕落(フォーリングダウン)』させる事なくだ」

「は、はいっ!」

弾けるように、セシルが走り出す。