「どうした」

まるで植物の成長を早回しで見ているようだった。

切断された邪悪の手足が、ヨセフの見ている前で瞬時に再生する。

指も、爪も無傷のまま甦り、流血すら完全に止まる。

その反則的なまでの回復力に、ヨセフは息を飲んだ。

思えば、邪悪は心臓を貫いても頭を潰しても再生するのだ。

肉体の末端部である手足を切断した所で、何のダメージがあろうか。

急所ですらない手足など、再生は一瞬の事だ。

「もう終わりか?祓魔師。貴様の手札は全て使い切ったのか?ん?」

挑発的に顔を突き出し、ヨセフに問い掛ける邪悪。

悔しいのは山々だったが、ヨセフには何ら反論が出来ない。

これだけの事をしても、全くダメージを受けていないのでは…。

「なら…」

ニヤリと笑う邪悪。

次の瞬間、彼の握り拳がヨセフを殴り飛ばす!

その強烈な殴打に転倒するヨセフを見下ろして。

「今度は俺のターンという事でいいな?」

邪悪は身の毛もよだつような笑みを浮かべた。