振り向いて目を丸くするセシル。

そんな彼女に。

「何故お前が俺を連れて逃げるっ?」

ヨセフは尤もといえば尤もな問いかけをする。

ヨセフは聖職者、セシルは化け物。

言うまでもなく敵対関係だ。

しかも祓魔師と邪悪の眷属という、これ以上ないほどのとびきりの天敵同士。

隙あらば寝首を掻き切るような間柄。

見捨てる事こそあれ、助けてやる義理など、これっぽっちもない筈だった。