じっくりと、値踏みするように。

ベナルはヨセフとセシルを見た。

「べ、ベナル…」

鍼が胸に突き刺さったまま、それでもセシルは気丈にベナルを睨む。

「あの大災厄から10年…この九龍都市にゾンビやグールみたいなアンデッドが徘徊するようになった…最初は何処からか迷い込んできただけかと思っていたけど…」

「アンデッドは全て俺が生み出したものだ。偶然生まれるアンデッドなどいない」

セシルに返すベナル。

即ち、いつの間にかベナルも、この九龍都市を根城にするようになったという事。

邪悪とベナルという高位の化け物二人が、再びこの都市に揃ったのだ。