「都市下層部に客が来たようだ」

玉座の肘掛けに頬杖をつき、邪悪は言う。

「確認して来い、そして殺して来い」

相手が誰であるのか、それすら気にも留める事なく、邪悪は殺害を指示した。

「いいんですか、サー…相手が何者か分からないのに…」

おずおずと訊ねるセシルに。

「二度言わせるのか?」

邪悪はギロリとセシルを睨む。

姿勢を正し、震え上がるように彼女は復唱した。

「は、はいっ!下層部の侵入者を確認後、殺害を実行してきます!」