「……」

頭の中が、クリアに、明瞭になっていく。

今まで感じる事、聞く事が出来なかった事まで可能になる。

どこかで悲鳴を上げながらアンデッドに襲われる生存者の声、まだ新しい血の臭い、都市を包囲する警官隊とアンデッドの群れとの攻防。

驚いた事に、それらを聞き、感じ取っても『不快に思わない』。

人が死んでいく、苦しんでいる、アンデッドに変貌していく。

その事を感じ取りながら、何の嫌悪も湧かなかった。

そんな自分自身に驚愕と戸惑いを感じた。

これが『人間でなくなる』という事。

『邪悪の眷属になる』という事。

『化け物になる』という事。

その事に驚きを感じた。