濃紺に染まる赤を追え。






――――――――――――――

――――――――――





目を覚ましたとき、隣に桐谷はいなかった。


またどっか行ったのかな。

それなら、起こしてくれても良かったのに。



「本当、気まぐれだ」


乱れた二つ結びを直し、スカートを軽く叩いて青いドアを開けた。


あれ、そういえば、鍵は閉めなくてもいいんだろうか。


少し疑問が浮かんだけれど、気にせず階段を下りた。


わたしが悩んだところで、どうにもならない。

鍵を持っているのは桐谷なのだから、と。








「おっそーい」

「……」



教室に戻れば、わたしの机に堂々と雑誌を広げ、菓子パンを食べているナミさんがいた。



「……どうしてナミさんいるの」

「は? あんたついにボケた?」

「はい?」

「今、昼休みだけど」