「……どうしようかな」
一番有力だと思っていたのに。
他に候補がないことはないけれど、それでも動き出す気にはなれず。
考えた末、青いドアの前で座り込んだ。
だいたい、わたしたちを巻き込むってどうなの。
今の時間は数学なのに。
一時間抜けるだけで、どれくらい進むか分かってるのかな、あの豚まんは。
「自分は音楽担当だから、一時間くらいどうってことないのかもしれないけどさ」
その場に担任がいないのをいいことに、小さく文句を言う。
口に出すと、すごくすっきりして。
誰もいない階段に反響するのが、何とも言えないスリルで。
「二年の今の時期がどんなに大変なのか分かってないよ、本当に。あー、次の模試の順位下がってたら豚まんのせいにしてやる……!」
今、先生がここに来たら、確実にやばいと思いながら、そう吐き出していると。
「……結構言うね、優等生な学級委員さん」


