たん、たん、自分の足音だけが響く。
ちょっと前にチャイムが鳴ったから、今廊下にいる生徒なんてわたしぐらいだ。
階段を一段一段上るたび、スリッパが音をたてる。
「……っはあ、……」
運動不足が響いたようで、全部を上り終えたあと、息切れがひどかった。
高校に入ってから、あまり動いてないからかな。
中学のときは、これでも陸上部だったのに。
くだらないことを考えながら少し息を整えて、目の前に立ちはだかる青いペンキの塗ってあるドアを見上げた。
屋上、なんて。
ベタすぎるけれど、ここ以外に思いつく場所は少ない。
「……よし」
小さく呟き、ドアノブに手をかける。
そのまま右に捻り、引いてみた。
でも。
「……開かない」
ガシャ、と鈍い音がするだけで、動く気配のないドア。
それもそのはず。
立入禁止のはずの屋上が開いていたら、学校の管理体制を疑うし。
引いて駄目なら、と思い、今度は押してみたけれど、結果は同じで。


