でも、今日くらいは仕方ない。

太陽の光を浴びてサラサラと輝くシルキーアッシュに手を差し込む。


「これでいい?」

「ん」


ふわふわと撫でると、桐谷は気持ち良さそうに目を閉じる。

と、すぐにまた思いついたのか、目を開いた。


「名前、呼んで」

「……桐谷」

「違う違う、下の名前」


にやり、楽しそうに弧を描く桜色。


「え……! ハードル高い……!」

「はいどーぞ」


くすくすと喉元で笑いながら桐谷は言う。

まあ、だけど、今日くらいは仕方ない。


「……ん」

「ん?」

「……蓮」


小さく呟くと、桐谷は満足げに微笑んだ。

……もういいですか。