「また落ち込んでるでしょ」 「そ、そうでもないよ?」 「ウソだね」 「うー……!」 頭を抱えて悶々と唸ってみたけど、結局、なす術もなく脱力。 「彼のことで君が悩みすぎる必要はないんじゃないかな」 「でも、友達だから心配になるわ。名前を呼ばれるのが嫌だなんて……」 生まれたときの喜びとか、願い。 城ヶ崎の名前にも、ちゃんと込められているはずなのにな。 ――彼の両親は、何を思って、彼に名前を贈ったのだろう。 しばらく沈黙が流れ、先に口を開いたのは若葉くんだった。