"いい子ちゃん"一度貼られたレッテルは中々剥がれない。








エマさんと出会うのが必然だったのなら、わざわざ自分からレッテルなんて貼らなかったのに。






「はぁ…」





本当に都合がいい女。






私も教室入ろ。








せっかくの気分も最悪。








桜から視線を外して教室に踵を返したところで彼に声をかけられた。








「あの。生徒会の人ですよね?」







「っ」







思わず釘付けになってしまう様な独特の雰囲気。








普段とは違うもの柔らかな顔。








綺麗な黒髪が風でなびく。









私は咄嗟の思いで声を出した。









「はい。貴方は隣のクラスのスバルさんですよね?」








「そう。同い年だから敬語やめよう?」









「えっ…。うん」








そして何となくだがエマさんが彼に惚れた理由もわかった。





「で…用事ってなに、かな?」









「あぁ、それなんだけど。」








彼はさり気なく私の隣にきて、桜を見ながら言った。






私も彼につられて桜を見る。








「生徒会のボランティア参加したいなって思って」








私の耳にはそう聞こえた。







聞こえたら私の体は勝手に動く。








「本当に?ありがとう!!」






彼の手を反射的に掴んでしまった。







彼は少し驚いたようにして私に笑みを傾けた。








私も彼も誰かに見られていたなんて思ってもいなかった。