オレは、軽く息を吸うと、言った……つもりだった。
本当は『岸さんが切ってくれるなら、大丈夫です。今日はばっさり、お願いします』と言うはずだったのに。
超不安定なオレの声が、なんとか日本語になったのは、一番最初の『きしさんがきってくれる』って辺りまでだった。
最初からかすれていた声は、それから先。がくっと壊れるように消えて無くなったかと思うと、後から猛烈な咳が来る。
「ち……ちょっと! 奏太、大丈夫!?」
背中を丸めてゲホゲホとむせ込むオレに、青ざめた岸さんが、慌てて水を持って来た。
「普通の会話も出来ないほど、声が出ないなんて!
事故を起こした時よりも、ひどくなっているんじゃない!?
なんでこんなことに!」
そう。
声が出なくなったのは、去年の12月末に大規模なバイク事故を起こしたせいだ。
それから、三か月も経って。
骨折とか、その他もろもろ大きな傷も治っているのに、声だけ戻って来なかったのは。
オレの単車とぶつかった車が炎上し、その時吸ってしまった煙で、喉が焼けてしまったせい。
それと……。
しっこく続く咳がおさまって、ようやく。
オレは最近、いつも持ち歩くことにしているメモ帳に、文字を書いた。
『へんせー期』
本当は『岸さんが切ってくれるなら、大丈夫です。今日はばっさり、お願いします』と言うはずだったのに。
超不安定なオレの声が、なんとか日本語になったのは、一番最初の『きしさんがきってくれる』って辺りまでだった。
最初からかすれていた声は、それから先。がくっと壊れるように消えて無くなったかと思うと、後から猛烈な咳が来る。
「ち……ちょっと! 奏太、大丈夫!?」
背中を丸めてゲホゲホとむせ込むオレに、青ざめた岸さんが、慌てて水を持って来た。
「普通の会話も出来ないほど、声が出ないなんて!
事故を起こした時よりも、ひどくなっているんじゃない!?
なんでこんなことに!」
そう。
声が出なくなったのは、去年の12月末に大規模なバイク事故を起こしたせいだ。
それから、三か月も経って。
骨折とか、その他もろもろ大きな傷も治っているのに、声だけ戻って来なかったのは。
オレの単車とぶつかった車が炎上し、その時吸ってしまった煙で、喉が焼けてしまったせい。
それと……。
しっこく続く咳がおさまって、ようやく。
オレは最近、いつも持ち歩くことにしているメモ帳に、文字を書いた。
『へんせー期』



