調子が良いのはどうしてだろう?


 そして、なんでオレは泉川を乗せて走るつもりになったんだろう?


 通学が、原付バイクならいいじゃん。


 自分のバイクを運転させて、オレが後からついて行けば、ソレで良いハズなのに。


 いやいや。


 そもそも、今のオレにはこんなバイクは不自然過ぎるだろう。


 変に思われたり、地の正体がバレねぇようにするためにも。


 静かな生活を送るつもりなら、こんなバイクに乗ってる姿なんざ、見せちゃいけないはずなのに。


 心の中で首をかしげるオレの背中に、むに、と柔らかいモノが押し付けられているのを感じて、更に焦る。


 こっ、これって、泉川の胸……っ!


 いや! 絶対! 断じて!


 オレは、合法的に、泉川の胸の感触を味わいてぇから、バイクに乗せたワケじゃねぇからな!


 泉川の胸!


 自覚した途端かなり動揺してんのが、自分でも判って……ウザい。


 くっそ! 女の胸が気持ちイイってことは良く知ってるけど……同時に怖くて。


 自分から女の子抱いたこと、どころか、誘ったこともねぇよ!


 悪かったな!


 ああ! 歪んだカタチで、童貞卒業しちまったせいだよっ!