うそつき王子の秘密のキス

 確かに髪は短くなったものの、今までの雰囲気がほとんど変わらねぇ、オレ。


 いや、鬱陶しい長髪がサッパリして、下手をするともっとカッコよくなってるかもしれねぇ。


 今すぐ、AN^NAの編集部に行っても、Cards soldierのステージに上がっても違和感のない顔が、鏡の向こうでオレを見返していたんだ。


 ~~岸さん~~ だから、オレが望むのは、こんな派手な感じではなく!


 もっと地味~~に、大人しく~~


 そう言った意味を一杯込めた、うるうる目で睨めば、岸さんは、ちょっとヒトの悪い顔をして、ふふふふ、と笑った。


「何か、不満があるようね~~?
 だって『Z』のオーナー美容師が、さ。
 依頼されたからって、ハイ、そうですかってダサい髪形をフツーに作ると思う?
 しかも、素材極上のキレイなコに対して!
 もっと輝かせるのならともかく。落とすなんて、最低~~ 既に犯罪行為よ!」


 そう言って、岸さんは拳骨を握ったけれど。


 あの~~ オレ本人の希望は一体ドコに?



 しくしくしくしく



 いかにオレをキレイにするか、に燃え上っている岸さんには、も~~何を言っても無駄そうで。


 目の幅一杯の涙が出るかと思った時だった。