うそつき王子の秘密のキス


 モデルの仕事が終わったんだってさ。


 ファンって気持ちは、編集部にメールを打ったり、某有名SNSにあるアカウントをフォローするだけで良いと思うのに。


 毎月ダンボール一杯、大勢の手書きのファンレターやプレゼントが編集部に届けば、特にオレ自身の人気が落ちたからってわけじゃないだろう。


 雑誌『AN^NA』で紹介する服や小物と、オレの年齢がずれて来た所に、丁度バイク事故を起こして干された、って所だからな。


 AN^NAを辞めて困るの所は、これからの生活費をドコで調達するか、って所ぐらいだ。


 声が出ない以上、まともなバイトにもつけねぇだろうが、モデルとして稼いだ金は、きちんと貯金してることだし。


 あと二年。


 高校を卒業するまでの間の学費と生活費ぐらい、なんとかなるんじゃないかと見積もってる。


 こう考えると、辞めて辛いのは、むしろCards soldierの方だ。


 いつ、声が戻るかも判らない以上、仲間の足を引っ張るワケにはいかず。


 自分から、君去津高を飛び出したんだけど。


 正直、ちょっと淋しいぜ……ってな弱音は、絶っ対誰にも死んでも吐けねぇから。


 長すぎる髪ぐらい、キレイさっぱり切って、新しい一歩を踏み出したかった。


 だから。