うそつき王子の秘密のキス


「えっ! 『へんせー期』って、もしかして『変声期』のコト?」


 岸さんの声に、オレはうんうんとうなづいた。


 どうやら、オレの声が、最悪に出ないのは。


 世間一般サマより遅れた変声期……喉が大人に変化しかけた時に、事故で喉を焼かれたことが重なって、更に悪化させたコトが原因らしい。


 単なる変声期で終わるのか。


 それとも一生このまま、声が出ないのか。


 それは、時間が経ってみないと専門家でもよく判らないらしい。


 ただ、一つ確かなことは。この時期が終わってオレに『声』が戻って来たとしても。


 今までの『スペード・エース』の声とはだいぶ違うはずだって言うコト、だ。


 変声期って早いヤツは一カ月で終わるけど。


 遅いヤツは何年もかかるらしい。


 とりあえず、事故から三カ月以上経った、今。


 明日は、今日よりマシな声が出るのか……どうか。落ち着かない毎日を送ってる。


「そっか……変声期かぁ。
 奏太も大人になるんだね」


 そうしみじみ言う、岸さん、なんだか妙にオジサン臭くて笑える。


 まあね。時は止まっちゃくれねぇからな。