どこにいったんだ。

俺が出て行く前はたしかいたはず。

「ただいまー!」

そう思ってきたら帰ってきた。

「いやあ、参ったわ。みいのとこ行ったはいいけどまさかの弟君に鉢合わせ!」

真もまた、幼なじみの未来ちゃんに恋をしている。

「やっぱ、男って優しいほうがいいんだよな、みい、絶対優のこと好きだわ。」

いつも自信たっぷりな真がめずらしく自嘲気味に笑う。

「諦めるの?」

少し挑発してみるつもりで言ってみた。

「…なわけないじゃん。あいつのこと、絶対に諦めたくない。」

うん、俺もだ。

さくのこと、絶対に諦めたくない。

俺のこと、好きにならせてみせる。

ピーンポーン

部屋のチャイムが鳴る。

こんな時間に誰だ?

もう消灯時間は過ぎているのに。

ドアを開けると、そこには同じクラスの…

名前なんだっけ?

いつも教室の中の中心の女子グループの一人。

と、なぜかいつもそいつと一緒にいる、比較的おとなしそうな…風見。