うう、寒い…

首にマフラーをぎゅっと巻きつける。

一日の中で一番憂鬱な時間、駅のホームで電車を待つこの時間。

眠いし、寒い。

貨物列車が通り過ぎた日なんて、その風で凍えそう。

「おはよ!鈴原さん!」

「おはよう、有川君。」

季節はもうすぐ十二月。

あっという間に一年も終わる。

有川君と話すようになってから二ヶ月、そして大和と話さなくなってから二ヶ月。

相変わらず家の前であっても目も合わせることのない私達。

やっぱりもう元には戻れないのかな。

私はまだ大和を忘れられない。

別れようって決めたのはちゃんと向き合いたかったからなのに、どんどん離れていっちゃう大和。

私の選択肢はいつも間違ってる。

「あれ、鈴原さん、前髪切った?」

やっと電車が来て車内に乗り込んで、私の前に立った有川君が言う。

「やっぱり変かな?ちょっと切りすぎちゃった…」

勢い良く切っちゃって、眉毛が少し出るくらいになっちゃったんだ。