「だーかーら、別れようって言ってんの。」

私は彼の言葉に、目を見開き、口をぽかんと開けている。

きっとものすごく間抜け面。

そんな私を気にもしないで、彼は口を開いた。

「桜子さ、顔は可愛いし、俺のどストライクだったし、それにお嬢様学校のすみれが丘に通ってるからいい線いってたんだけどさ、つまんない。」

つ、つまんない?

そして彼は私が大好きだった笑顔を作り、にっこり微笑みながら言った。

「実はさ、かけてたんだよね。すみれが丘のお嬢様をどんだけ早く落とせるか。桜子、告白してから付き合うまでは早かったのにそっから遅すぎんだもん。」

毎朝乗る電車で気になっていた男の子。

それは目が合うからで。

自然と好きになっていた。

爽やかな笑顔も、優しい声も、全部全部好きだって思ってた。

「大体さ、付き合ってもうすぐ一年なのにキスもダメとか、何なの?固すぎでしょ?やっぱ女子校育ちだから男慣れしてねえのかな。」